2024.07.15
「ある選択をした私は、その選択をする前も後も変わらず、私のままで、私の日常は続いていく。なのに、外の世界、私を取り囲む世界の景色は急激に変わってしまい、そこに住む人たちは事実を知ったその瞬間に、私を今までとは違う、全くの別物として扱い始める。親しかった友人たちも、私を気にかけているようで、私が間違いを犯してしまったことによる自分への影響とか、友人としてとるべき態度だとか、で満たされている。「エス」を観ていて、今の自分に重なる部分が多く、もやもや、ヒリヒリとした。決して過去の私に戻ることはできないけれども、それを選択したのは私で、その私が、その今を受け止めてどう生きていくのかなのだと、自分自身に言い聞かせながら、太田監督の静かな諦めと、覚悟と、煌めきを感じ取る。」
縄田カノン(俳優)